Googleさんが19日に発表したゲームサービス「Stadia」、うまくいったらすごいことになりそうな力の入ったものでした(ちなみにロゴは「STADIA」と全部大文字ですが、Googleの公式サイトでは「Stadia」になっています)。
Stadiaはどんなサービスなのか
PCやスマホでTwitterやYouTubeを見ていて、出てきたゲームの動画にちょっと興味がわいたら、画面に表示されている「Play」ボタンをクリック(タップ)すれば5秒でゲームをプレイ開始できる。
しかもきれいで動きも滑らかで、マルチプレイもできて、スマホでも高性能PCで参戦しているプレーヤーと互角に戦えて、そのままYouTubeでゲーム実況もできちゃう。
YouTubeのゲーム実況を見ていて自分もそのゲームをやりたくなったら、すぐに参加して実況者とも対戦したりできる。
自分の名プレイをシェアしたい人のための「State Share」という機能もある(録画するんじゃなくて、ゲーム内のその場面のポイントを記録し、いつでもそこを表示できるようにする)。
PlayStationやNintendo Swithのような特別なハードウェアは不要(逆にそれを持ってる人が参加できるかどうかを知りたいところ)。標準的なゲームコントローラは使える。
必須じゃないけど、Made by Googleのオリジナルコントローラを使うと、このコントローラがWi-Fi経由でStadiaのサーバに接続し、サーバとゲームをプレイする端末(PCとかスマホとか)を繋いでくれる。
すごそうですよね。でもまず気になるのは、音楽や動画配信と違って、ゲームではミリ秒でも遅延があるとだめなのに、いくら世界中にデータセンターを持ってるGoogleさんでもそこは大丈夫なんですか? という点。もう1つはおもしろいゲームがちゃんと揃うの? という点。
シューティングゲームでレイテンシがあったら台無し
イベントでは、Stadiaの偉い人、フィル・ハリソンさんが「数百人が同時にプレイしてもレイテンシなし」と言いましたが、実際にプレイしてみたらかなり遅延があったという感想も出ています。
悲観論もありますが、すでにクラウドゲーミング環境を導入しているソニーの「PlaySation Now」は、Gaikai買収から着実に進化していて、レイテンシ問題を感じさせないほどになっているそうなので、Googleさんの技術力をもってすれば改善できるのではないかと。
面白いゲームは揃うの?
ところで、イベントを仕切っていたこのハリソンさんは、ゲーム業界の大物です。1992年にSony Computer Entertainment Europeに入社して2008年までソニーのゲーム系列でプレイステーションを手掛けた後、4年ばかりAtariでディレクターをやったり他のことをやったりして2012年にMicrosoftに入社してXboxの欧州での責任者を3年ばかり務め、Microsoftのゲームの偉い人フィル・スペンサーに惜しまれつつ退社して、VR体験メーカーに投資したりした後、2018年1月にGoogle入りしました。
Google入り直後のインタビューでハリソンさんは、インディーズゲームメーカーがコンソールゲーム機向けのゲームで成功するのは至難の業だと語り、それでもゲームの未来は明るいと語っていました。彼が言っていたゲームの未来が、Stadiaだったんですね。
Stadiaでは、ゲームメーカーはGoogleのクラウドネイティブなインフラを使ってゲームを開発できるので、インディーズでも大手と互角の開発環境を使えます。
AndroidのGoogle Playストアのように、Googleが提供する開発ツールを使って作ったゲームをGoogleが用意した店先で売る、という感じのようです(まだその当たりの詳細は発表されていない)。
なので、面白いかどうかは別として、スタート段階でかなりの数のゲームが揃うんじゃないでしょうか。
ゲーム開発者さんは、開発者向けサイトから参加を申し込むことができます。京都のQ-Gamesさんが既にStadiaのゲームを開発しているので、日本からも申し込めるはずです(サイトは日本語非対応)。
気になるのは、イベントではEAとかコナミとかの大手の名前が全然出てこなかったこと。デモでは、「DOOM」のid Software、「Deadlight」のTequila Works、「PixelJunk」シリーズのQ-Gamesが登壇しました。ハリソンさんはPolygonのインタビューで「デモに参加してもらったメーカーは、Stadiaの特徴をうまく説明できる機能があるゲームを選んだ結果なんだ。(参加企業について)深読みしないでほしいな」と語っています。
Google自身のゲームスタジオを率いるのはアサシンクリードで知られるジェイド・レイモンドさん
イベントで、ブルーネットのロングヘアに黒い革ジャンのかっこいい女性が登場すると大きな歓声が。ジェイド・レイモンドさんは、Google自身のゲームスタジオ「Stadia Games and Entertainment」の責任者です。
彼女はまた、外部開発者とのコミュニケーションも担当すると語りました。あの歓声なら人望もありそうで、いい人材を引っ張ってきたなーという感じです。
レイモンドさんはLnkedInによると、3月にGoogle入りしたばかり。2009年から10年Ubisoftに、その後、昨年11月までEAにいました。
「Project Steam」でUbisoftの「アサシンクリードオデッセイ」を使ったころからGoogleは彼女にアプローチしていたのかもしれません。
まだ入社したばかりのレイモンドさん。ATAPのレジーナ・デューガンさんのように競合に引き抜かれないといいな。
Googleさんがゲームに参入する目的は?
Stadiaの料金体系などについてはまだ発表されていません。Googleアカウントでログインするサブスクリプションサービスになるのかもしれません。サブスクなしで、「Play」ボタンをクリックして遊んで気に入ったらGoogle Payで支払うのかもしれません。さすがに広告だけでやっていくというのはないでしょう。
でもたぶん、Googleさんの目的は目先の金儲けではなく、AIのための教師データ集めだと思います。ゲームプレイの膨大なデータが簡単に集められたら夢のようです。どういうシチュエーションで人間はどういう行動をするのか、のパターンが記録されているんですから。
AIにとっていかに教師データが大事かは、イチローの引退会見の字幕がひどいと話題になったことからも分かります。この字幕はベースにGoogleの「Cloud Speech-To-Text API」を使っているそうですが、教師データが悪かったようで、いろいろ不思議なテキストになっていました。同じ会見の音声を同じAPIを使っているGoogleの「音声文字変換」アプリでテキスト化したところ、全く違う結果になりました(かなりまともでした)。
データはもちろん、匿名化ツール「TensorFlow Privacy」で匿名化されるので、ユーザーのプライバシーは守られるはずです。
細工は流々 仕上げは……
世界に誇るデータセンター、最先端のAI技術、YouTubeというゲームと親和性の高いサービス、一流の人材をそろえたStadia。これで成功しないわけがなさそうですが、一番大事なのはゲーマーの心をつかめるかどうか。コミュニティ作りが苦手なGoogleさん(そういえばGoogle+ももうすぐ終わりです)にとって、これは難しい課題だと思います。
競合とのユーザーの取り合いも心配です。MicrosoftもE3でゲームストリーミングサービスxCloudを発表するでしょう。フィル・スペンサーさんは、Stadiaなんかたいしたことない、と言っていました。どうなりますことやら。
日本に来る?
立ち上げ段階では北米と欧州の一部でのみ提供します。日本にいつ来るかは不明です。ちなみにGoogleの音楽ストリーミングサービスの場合、米国でのスタートから日本で利用できるようになるまでに約4年かかりました。気長に待つ必要があるかもしれません。
コナミコマンド?
ところで、Made by Googleのコントローラの紹介で背面が映ったとき、書いてあるものが気になりました。
[↑][↑][↓][↓][←][→][←][→][B][A][Start]と書いてあります。そう、コナミコマンドです。このコントローラでコナミコマンドを入力すると何か楽しいことが起こるのかも?
ちなみに米国のGoogle StoreにあるStadiaのページでコナミコマンドを入力すると、コントローラの360度画像が表示されます。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190324-00000014-zdn_n-sci
2019-03-23 23:15:57Z
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