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『LoL』のライアットによる新作FPS『VALORANT』(ヴァロラント)が正式発表! 『カウンターストライク』系のタクティカルFPSとヒーローシューターの要素が融合 - ファミ通.com

 ライアットゲームズが、新作FPS『VALORANT』(ヴァロラント)を正式発表。2020年夏よりPCで新たな基本プレイ無料タイトルとして正式サービスを開始する。

ライアットゲームズ新作FPS『VALORANT(ヴァロラント)』プレイ動画

The Round - Valorantゲームプレイプレビュー

 開発進行中のプロジェクトとして『Project A』という仮題で存在が明かされていた本作の正体は、なんと『カウンターストライク』(以下、CS)系のタクティカルFPSの伝統を土台に、『オーバーウォッチ』や『Apex Legends』などのヒーローシューターの要素を融合させ進化させた完全新作!

 本誌では、アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで開発中の本作をひと足先に遊び、開発陣への取材を行ってきた。

 その感想を先に書いてしまうと、ジリジリとお互い索敵しながら進み、ひと度撃ち合いが始まると一気に勝負がつくタクティカルシューターの痺れるような緊張感と、ヒーローシューターでスキルが見事にハマったときの「俺ツエェェェェ!」という万能感が見事に融合していて、コレおもしろすぎ!

 というわけで、さっそくその全貌をお届けしよう。

ライアットゲームズ新作FPS“Project A”の正式タイトルは『VALORANT』(ヴァロラント)』!

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基本ルール:5対5&ラウンド制で戦う爆破マッチ

 『ヴァロラント』でローンチ時に用意されるのは、CS系ゲームでおなじみのいわゆるボムモード(爆破モード)のみというストイックな構成だ。

 ルールとしては、まず5対5で攻撃側チームと防衛側チームに分かれ、攻撃側はマップ内に複数ある攻略目標いずれかの爆破、防衛側はその阻止を目指すというもの。

 試合は全24ラウンドで構成され、1ラウンドの勝敗は、爆破前に一方のチームが全滅した場合は生き残った側、爆破に成功した場合は攻撃側、爆弾設置後のカウントダウン中に防衛側が解除成功した場合は防衛側の勝利となる。

 このようにラウンドを戦っていき、前半12ラウンドが終わると攻守交代。それまでに獲得した装備や資金(後述)は一度リセットされる。最終的に13本先取したチームがその試合の最終的な勝者となる。

買いもの要素アリ! 自キャラの一般スキルも購入の対象

 プレイヤーは4つの固有スキル(通常スキル3つ+アルティメットスキル)を持つ”エージェント”と呼ばれるキャラクターを選択して出撃。その試合を通じて選んだキャラで戦っていく(ラウンド間の交代などはできない)。

 ユニークなのは、使用武器やアーマーだけでなく各エージェントの3つの通常スキルについても、CS由来の"ラウンド間の買いものフェーズで手持ちの資金を使って買う”という仕様を採用していることだ。資金はラウンドが進むごとに手に入る。

 CS系のゲームでは、つぎのラウンドで強武器に投資するためにあえてピストルなどの安い武器で我慢して戦う戦術(通称、エコラウンド)がある。本作では固有スキルも持っていくか節約するかの対象になるわけだ(単価はそんなに高くないので個人的には買ったほうがいいと思うが)。

エージェントによる武器の制限はなく、資金さえ貯めれば基本的にはすべての武器を使用可能。

 なおラウンド中に死亡した場合や、前述したとおり前半戦が終わって攻守交代になった場合は、武器やアーマー同様にスキルも買い直しになる。

 アルティメットスキルはラウンドを通じてチャージしていき、3~4ラウンドで使用可能に。チャージはマップ内にある”オーブ”を獲得することで一気に進められるため、オーブ周辺で起こる戦闘もひとつのカギとなる。

設計の方向性1:ワンショットキルもありえるシビアさと、共通ヒットボックスを採用したフェアさ

 さて、タクティカルシューターとしての本作の設計はシビア寄りだ。Time to Kill(略称TTK。交戦から倒すまでにかかる時間)は非常に短く、ヘッドショットならほぼ1発、頭以外でもライフル3~4発の被弾で死亡することがある。

 また本作ではヒーローシューターとしてさまざまなエージェントが登場するが、上記のような方向性になっているため、キャラクターのプロポーションやヒットボックス(当たり判定)は同一のものを採用。キャラクターの違いによる当たり判定の有利不利をなくしている。

 そして、動きながらの銃撃は弾がそれやすく、確実に当てたいなら足を止めて撃ったほうがいい。このため、相手の位置を少しでも先に察知して早く攻撃を仕掛けること、同時にギリギリまで相手に位置がバレないようにすることが重要になってくる。

 足音も重要な手がかりだ。接敵が予想されるシチュエーションに対応するため、左シフトキーを押して足音を立てずに動くオプションが用意されている。

 ちなみに、基本プレイ無料タイトルとしてリアルマネーで購入できるのは外見用のカスタマイズアイテムに留まっており、勝敗はあくまでプレイヤーの技量で決まる形だ。

設計の方向性2:スキルで直接倒すより、“銃で撃って倒すためのスキル”というバランス

 ヒーローシューターでは使用キャラの固有スキルを活かした攻防が見どころのひとつ。本作でもそれは変わらないのだが、基本的に本作のスキルはそれで相手を直接倒すものというより、“銃で倒すためにスキルを使って状況を変化させる”という位置付けで設計されている(スキルリストは本記事後半に掲載)。

 そのため、スモークグレネード的な敵の視認を妨害するものや、敵を発見するスキルが多い。中には直接ダメージを与えるスキルもあるが、それらも(それ以上食らってダメージを受けないために)障害物などの影から敵を追い出すといった用途が想定されている。

設計の方向性3:機敏に反応するサーバーとさまざまな形で施されたラグ対策

 また競技性の高いフェアなゲームプレイを実現するために、ネットワーク面でもさまざまな対策が施されている。

 まず同社の主力タイトルである『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、LoL)のために作られたネットワーク”Riot Direct”を本作でも採用。これは各プレイヤーができるだけ最短の通信経路でサーバーにアクセスするよう設計されたもので、全世界の70%のプレイヤーはその地域のプレイサーバーに35ミリ秒以下のPing値(※)でアクセスできるとしている。

※Ping値:プレイヤーからサーバーまでの応答速度を示す指標。低いほど遅延なく通信できる。

 サーバーは36コアのCPUを搭載したマシンで、1台あたり108試合(1080プレイヤー)を収容可能。128チックレート(※)で動作するほか、全プレイヤーの動きを秒間128フレームにアップスケールするという機能がついている。これにより低性能なマシンや回線によりラグ気味のプレイヤーも、見た目上はスムーズに処理される。

※チックレート:サーバー側が処理を受け付ける応答速度を示す。高いほど細かく高頻度に対応できる。

 そしてネットワークコードでも新たな試みが施されており、”Peeker's Advantage”と呼ばれる状態に対する対策が投入されている。

 このPeeker's Advantageとは、低品質な回線やサーバー問題によって、障害物などから飛び出した攻撃者がディフェンス側よりも先に相手の姿を視認できてしまうという問題を指す。本作では独自の工夫によってこの不利を是正し、両者が限りなく同時に互いを視認できるようになっているのだ。

設計の方向性その4:チート対策を最初から考慮した設計に

 この手のタイトルでは不正ツールを使ったチーターの存在に悩まされるのが常。というわけで絶対に必要なチート対策については、なんと本作の開発が本格始動する以前から練られているという。

 たとえば相手チームの姿を透視する”ウォールハック”という手法に対しては、通常は試合開始時から全キャラの位置情報がクライアントに送信される所、プレイヤーが他プレイヤーを目視しそうになる直前になるまでデータを送らないという設計に。

 これは開発用ツールで実際に動作している様子を見せてもらったのだが、相手プレイヤーが完全に壁に隠れている間はデータが存在せず、相手プレイヤーが端に来て姿を見せそうになるとデータが送られ始めるという挙動になっているのを確認できた。

 ウォールハックツールはこういった他プレイヤーの位置情報を読み出して表示するという作りなので、そのデータがギリギリにならないと得られないなら使用するメリットが減るというわけだ。

 そしてゲームデータをプレイヤー側で弄ることで可能になる高速化やテレポーテーションなどのチートについても、処理をサーバー側で管理することで不可能にしているとのこと。

 チート対策はつぎからつぎへと出てくる終わりなきいたちごっこであるのは運営側も重々承知で、未知のチートに対応する仕組みも用意されている。

 まず、本作のために新たに構築された”Vanguard”(ヴァンガード)と呼ばれるシステムを開発し、『リーグ・オブ・レジェンド』で使われているチート検出システムを合わせて投入予定。このシステムでは新たなチート方法の登場にもアクティブに対応し、またサービス開始後はデータ分析による調査なども通じて、開発・運営の両面で対応していくそう。

動作環境は大半の『LoL』プレイヤーならクリアー

 PCの動作環境はけっこう軽め。最近のモデルであればゲーミングPCではなくとも最低動作環境はクリアーできそうだ。ちなみにこのスペックは88%の『LoL』プレイヤーはクリアーしているラインとのこと。

  • 最低動作環境(30fps動作)
  • OS: Windows 7/8/10 64bit
  • CPU: core i3-370M
  • メモリー: 4GB
  • グラフィック: Intel HD 3000以上 Shader model 4.0以上対応
  • VRAM: 1GB

 60fpsでプレイできる推奨動作環境は、上記からCPUが”core i3-4150以上”、グラフィックが”Geforce GT 730以上”となる。アメリカの市価では500ドルぐらいの構成とされており、66%の『LoL』プレイヤーはこれ以上のスペックをすでに持っているそう。

プレイインプレッション:いきなり完成度高ッ! さまざまなゲームとその競技シーンのDNAが練り込まれた、タクティカルFPSの進化系

 記者は多くのCS系のタイトルを過去に取材してきたのだが、10年以上前から「そろそろ爆破モードはもういいんじゃない?」といった声はあった。正直に言うと、今回もプレゼンの冒頭で「まずは爆破モードのみでリリース」と言われて「また?」と一瞬思ったのは事実だ。

 「伝統的なタクティカルFPSをいかに進化させるか」というのはけっこうな難題。これまでにいろんなメーカーが挑戦してきたものの、結局はメインで遊ばれるのは爆破モードになったり、それこそ本作のように基本は変えずにスキルやガジェットなどを導入しても完成度がイマイチだったり、このストイックに磨き込まれてきた大定番の牙城はそう揺るがなかった。

 でもナメてました、スイマセン。おもしろいわコレ。ファーストマッチの最初の交戦で秒で死亡し、記者のガッカリ具合に対応してくれたスタッフが笑いながら「動きながら撃ってもだーめだって!」と指摘する中で「オーケー、こういうゲームなんだな、わかったよ!」と気を取り直して臆病に戦えば、今度は華麗なスキルで裏をかかれて慌てている間に死亡。「あ、チクショあのスキル使えば絶対やってたわ」と後悔しても遅い。

 そんなこんなで遊びながらカンを掴んでいくと、次第に複数キルを取れる試合も増えていく。さっきまで初見だったマップで「Aサイトの大外から3人来た。ひとりやったわ」とか「Bサイト突っ込もう。スモーク投下に合わせて突入ね」と、”らしい”ボイスチャットが飛び交うようになり、仲間の大逆転クラッチプレイで歓声があがり、懐かしいアドレナリンの感覚が蘇ってくる。

 まぁなんというか、この“わかる人はわかる”シビアかつ派手、伝統的かつ革新的、ベーシックかつユニークなスタイルがどれだけ一般のゲーマーに受け入れられるかわからないが、とにかくうまいこと要素がかみ合っていておもしろい。

 Riot GamesがFPSを手掛けるのは本作が初になるが、なぜこんなことができたのか?

 話を聞いてみてわかったのは、開発スタッフとしてさまざまなFPSを手掛けてきた開発者や元プロなどが多数在籍しており(後述のインタビューでその辺の話が出てくる)、じつにいろんなゲームとその競技シーンのDNAがきっちり練り込まれているということ。

 もちろん運営型のゲームが成功するかどうかは、ローンチ以降の新コンテンツの投入や新規プレイヤーの獲得などさまざまな要素が絡んでくるので、現時点ではなんとも言えない。が、コレはもしかするとなかなかおもしろい新たな競技シーンが世界的に生まれるのではと思った次第だ。

8人のエージェントをリードゲームデザイナーのコメント付きで一挙紹介!

 それでは現時点で参戦が決まっている全エージェントとそのスキル構成について、シニアゲームデザイナーのトレバー・ロムレスキー氏によるコメントと、記者の使ってみた感想をあわせて紹介していこう。

 なお、C/Q/E/Xの表記はデフォルトでそのスキルに割り当てられているキーで、C/Q/Eは購入が必要な通常スキル、Xはアルティメットスキルとなる。

フェニックス

コメント:攻守両面で活躍できる万能型のキャラクターなのですが、チーム主体ではなく個で戦っていくアグレッシブな設計になっています。

【C】ブレイズ
炎の壁を出して敵の進行を妨害するエリアコントロール系の技。

【Q】カーブボール
効果としてはフラッシュバン(目くらまし)。左右にカーブをつけられるので、曲がり角の先に投げるといったテクも可能。

【E】ホットハンズ
火球を放って着弾地点の一帯を燃やす。

【X】ラン・イット・バック
マーカーを設置し、自身の死亡か時間経過でその場所に戻って復活する。

感想:炎系の範囲スキルが得意なキャラクター。自己復活が可能なアルティメットスキルを利用した特攻が決まるとなかなか凶悪。

ジェム

コメント:もっとも“サポート”に近いキャラクターですね。仲間を回復して復活まで行える。戦場でチームを助けて回る存在になっています。

【C】バリアオーブ
着弾地点付近にバリアーを張る。

【Q】スロウオーブ
着弾地点付近にスロウ効果を発生させる。

【E】ヒーリングオーブ
回復を行う。

【X】リザレクション
やられた仲間の復活を行う。

感想:いわゆるヒーラー系。わずかな人数差や体力差が勝負を決めることも多い中で、回復や復活が可能というのはやはり強い。

ソーヴァ

コメント:偵察用のドローンで情報を得たりして、突入のチャンスを作り出せるキャラクターですね。ひとたび戦闘になれば攻撃系の矢でのサポートもできます。

【C】オウルドローン
偵察ドローンを飛ばす。ドローンの視点に切り替えるとマーキングダーツを撃てる。ダーツが当たった敵は場所がミニマップに表示される。

【Q】ショックボルト
爆発して衝撃波を放つ矢を打ち出すチャージ式アビリティ。

【E】リーコンボルト
着弾地点で周囲の敵を検出するビーコン型の矢を飛ばす。

【X】ハンターズフューリー
障害物を貫通する強力な矢を3発放てる(ただし飛行経路には表示が出る)。

感想:索敵能力に長けた偵察系キャラ。『オーバーウォッチ』の龍撃波的なアルティメットスキルは、敵がいると予測される場所に壁や障害物越しに打ち込んで、慌てて飛び出てきたところを叩くといったことが可能。

ヴァイパー

コメント:毒の煙幕や壁で広範囲の視界を遮るキャラ。相手を撹乱するだけでなく、それを活かして接近戦に持ち込むのも得意です。

【C】スネークバイト
毒を使った範囲攻撃スキル。

【Q】ポイズンクラウド
毒の地雷を投げて設置する。設置後に再度アビリティボタンを押すと範囲攻撃が発動。

【E】トキシックスクリーン
毒の壁を設置する。

【X】ヴァイパーズビット
最大ヘルス値低下&視界低下の効果を持つ毒の煙幕を広範囲に放つ。

感想:毒系スキルによるエリアコントロールが得意なキャラ。相手チームのプランを崩すようにスキルが決まると、じつに効果的。

ブリムストーン

コメント:後方に控えてカバーするタイプですね。スモーク投下によって仲間を再集結させて、つぎの戦術に進めることができます。

【C】スティムビーコン
周囲のキャラの速射性能を上げるビーコンを設置する。

【Q】インセンディアリー
着弾地点の周囲を燃やす範囲攻撃系グレネードを放つ。

【E】
スカイスモーク
ミニマップを画面中央に表示し、任意の場所に煙幕投下する。

【X】オービタルストライク
ミニマップを画面中央に表示し、任意の場所を爆撃する。

感想:ミニマップで発動位置を指定できる2種のスキルがなかなか強力。勝負をかけて踏み込むタイミングを作り出してくれる。

サイファー

コメント:情報線に長けていて、トラップやカメラを設置し、相手の位置をはじめとするさまざまな情報を得られます。敵に回すと裏から急襲してくることもあるでしょう。

【C】トラップワイヤー
通路などの任意の場所にワイヤートラップを設置する。トラップに当たると痺れるととともに場所が判明してしまい、さらに急いで撃って破壊しないと気絶状態になる。

【Q】サイバーケージ
ドーム型の“檻”を設置し、内部の対象をスロー化&視界悪化させる。

【E】スパイカメラ
壁などにカメラを設置できる(カメラの視界に切替可能)。カメラからはオウルドローンのようにマーキングダーツを撃てる。

【X】ニューラルセフト
死亡した敵から、ほかの敵の場所を確認する

感想:ソーヴァと並んで索敵能力に長けたキャラ。ソーヴァがスキルを飛ばして索敵するアクティブな能力なのに対し、サイファーのスキルは設置型という違いがある。アルティメットスキルは強力だが、死亡から時間が経った敵には使えず、有効なシチュエーションが限定される点には注意が必要。

ジェット

コメント:とても機敏で素早いキャラクターで、アグレッシブに攻めていくアサルト(突撃)役です。スピードを活かして戦場を動き回り、慌てた相手を捉えます。

【C】クラウドバースト
煙幕で視界を阻む。

【Q】アップドラフト
高くジャンプし、低い壁などの上に飛び出て先を覗いたりすることもできる。

【E】テイルウィンド
WASDキーで動いている方向に短距離ダッシュする。

【X】ブレイドストーム
クナイを呼び出して撃つ。クナイでキルすると残弾補充されるほか、Alt+Fireキーでクナイの全弾発射も可能。

感想:高機動なくノ一系のキャラクター。アップドラフト(ハイジャンプ)は場所によっては索敵にも使えるし、ジャンプからのアルティメットスキルといった離れ業も可能。プレイ中は地表レベルに意識が向いていることが多いので、突然の高所からの攻撃はなかなか厄介。

オーメン

コメント:チームのための戦術をセットできるキャラなんですが、(ブリムストーンとの違いは)彼はそれを秘密のベールでやってのけます。彼の意図をつかむのは難しいでしょう。フェイク戦術がうまく、テレポートで裏をかくのが得意です。

【C】シャドウステップ
指定位置に短距離テレポートする。

【Q】パラノイア
影を飛ばし、当たった敵の視界を悪化させる。

【E】ダークカバー
シャドウオーブを飛ばしてスモークグレネード的に視界を塞ぐ。

【X】フロム・ザ・シャドウズ
ミニマップを画面中央に表示し、指定した場所にテレポートする。

感想:「このルートを通った/通ってないからこの辺にいるはず」といった確認にもとづく推測で相手の位置を絞り込んでいく本作のゲームスタイルの中で、一定の範囲内とはいえ一気にテレポートできるアルティメットスキルは反則級。守りを固めて入り口への意識を高めているところにテレポートで切り込み隊長として乱入されると、一気に撹乱されてしまう。

マップ紹介:3サイト構成マップや1方向テレポーターなど、いずれもひと捻り加えた設計

 今回の取材でプレイできたマップは”ヘイヴン”と”バインド”の2種類。いずれも独自のメカニズムを持った構成になっている。こうしたマップの特徴となる要素を入れるのが、マップデザインの方針のひとつとなっているそうだ。

 ヘイヴンは、爆破モードでは伝統的にマップ内に攻略目標が2ヵ所あるところが、3ヵ所あるという3サイト構成の変則マップ。

 もうひとつのバインドは、一方通行のテレポーターがふたつ設置されているのがポイント。ひとつはAサイト近くの中央寄りからBサイト近くの中央寄りへ、もうひとつはBサイト外周からAサイト外周へと、一方に行くと見せかけて逆にテレポートするフェイク戦術が可能になっている。

 両マップについて、『カウンターストライク』の有名マップ“Cache”を手掛けたことでも知られる、通称”Volcano”(ボルケーノ)こと本作のシニアゲームデザイナーのサルバトーレ・ガロッツォ氏のコメントを聞いたので紹介しよう。

ヘイヴン

コメント:これはもう3つある目標地点がどう働くか(がポイント)でしょう。ふつう、この手のゲームでは2ヵ所ですから、けっこう新しいコンセプトです。どんな戦術で行くのか気になりますね。どんな人数配分にするか? 読みが外れたらどうするか? というだけで、いろいろ考えさせられます。

バインド

コメント:目標地点に対してチームがどう作戦を実行するかが鍵になるマップです。テレポーターを使ってフェイクを仕掛けることができるので。テレポーターは、社内テストではなかったクリエイティブな活用法が出てくるんじゃないかと楽しみにしています。プレイヤーはあらゆることを試して思わぬ手段を見つけ出すものですからね。

 なお、日本をモチーフにしたマップも開発中。3月5日発売の週刊ファミ通本誌では開発中のスクリーンショットやイメージイラストを掲載しているので、気になる人はぜひそちらもチェックしてほしい。

開発のキーマンにインタビュー。本作の深層に迫る

ゲームディレクター Joe Ziegler(ジョー・ジーグラー)&エグゼクティブプロデューサー Anna Donlon(アンナ・ドンロン)

――本作は『LoL』のシューターでも、単なるヒーローシューターでもありません。いちばんの強みは何だと思いますか?

ジョーいちばん強い部分となると、ある種のとても純粋なタクティカルシューターの流れを踏まえつつ、それをさまざまなアプローチが可能なものへと押し広げている部分ですかね。キャラクターのアビリティによって、さまざまな戦術、そしてさまざまな戦いの局面が生まれ、非常にユニークな瞬間が試合の中で発生します。

――なぜオリジナルIP(知的財産)なのでしょうか? 『LoL』のFPSにすることもできたわけですが。

ジョー『リーグ・オブ・レジェンド』のキャラクターは魔法があるファンタジー世界であることを前提に作られています。魔法があって、あとは大きな剣とかを持っているわけですよね。

 それに対して、このゲームでは銃が前提になります。だから、あの世界(『LoL』の舞台・ルーンテラ)では合わないと思ったんです。そういうわけで、一発の弾で死にうるような銃を持っていて、魔法的な能力はあるけどそれは2番手で……というアイデアを土台に本作を作ってきました。

――5対5のPvP(対人戦)ゲームとなっていますが、キャンペーンモードやCo-opモード、PvPvEなどはないのでしょうか?

アンナ現在の計画ではローンチ時点では5対5の爆破モードだけの予定ですが、もちろんそれ以外のモードを追加していこうと考えています。ただ、まだ何か完成しているわけではないので、まずは爆破モードでローンチさせて、その後でほかにモードについても進めていきたいです。なお、爆破モードをプレイするにあたってのキューは、競技的にプレイしたい人のためのものとそうでないもの(ランクマッチとカジュアルマッチ)があります。

――なぜクラシックな形式の爆破モードなんでしょう。たとえば『LoL』みたいにミニオン(※)がレーンを走っていくようなものにもできましたよね(一同笑)。

※ミニオン:『LoL』に登場するユニット。敵陣に向かって自動的に進軍する性質を持つ。

ジョーこの形にいたるまでにいろいろなタイプを模索しましたし、これまでにない形も試しました。そのうえで、なぜ爆破モードの形に“戻って”きたのかというと、目標地点とプレイヤーの間に走る緊張が、エージェントのアビリティをより際立たせてくれると感じたんですね。

 じつは(テスト段階で)ミニオンを入れてみたこともあるのですが、目標地点への意識に偏りすぎて対人の部分にあまり意識が行かなかったんですね。それで「これでは自分たちの目指したい戦術的なプレイにはいたらない」ということでナシになったんです。

――基本プレイ無料とのことですが、どう作用するのでしょうか?

アンナ基本プレイ無料にした理由は、それが我々がこの手のゲームにとってもっとも健康的なビジネスモデルだと考えているからです。

 そして(課金で勝つのではなく)プレイヤーにはスキルこそがものを言うゲームだと感じてほしいですし、できるだけ多くの人がアクセスできるゲームにしたい。また、フェアな競技性を維持することを意識しているので、お金を払ったからと言ってそれでアドバンテージを得るようなものにはしたくありません。

 購入可能なのはコスメティックなもの(外見変更用のスキンなど)になる予定で、『LoL』に近い形になると思います。武器のスキンやアクセサリー、そしてマップに吹き付けられるスプレーなど、プレイヤーがそれを通じて自分を表現できるようなものですね。

 そういった方向性で進めていく一方、カスタマイズ要素が増えていく中でノイズが増えるというか、ゲームが見づらくなってしまったりしないように注意していきたいですね。それもやっぱり競技性を阻害することになってしまうので。

――モバイルや家庭用ゲーム機版はどうでしょう?

アンナずっとPCで開発してきましたので、まずはPCでのリリースになります。一方でモバイルでのプロトタイプも作業を進めていて、まだフルに開発しているわけではないのですが、これは本作にとっていい機会拡大になるのではないかと見ています。

 家庭用ゲーム機版についても、もちろん話し合っています。PC版と同等の正確な射撃要素を家庭用ゲーム機で再現するのは難しい課題なので、そこをどうやっていくかですね。これはエキサイティングなチャレンジです。うまくできれば家庭用ゲーム機にも移植を踏み切るでしょう。ですが、もしゲーム体験をガラッと変えなければいけないようなことになるとしたら、恐らくやらないことになると思います。

――さて、いつ遊べるのでしょうか?

アンナ2020年夏を予定しています。それより前にクローズドβテストをやることになるでしょう。ゲームを安定させるのに十分なだけ長い期間は必要ですが、同時にできるだけ早くリリースまでつなげたいですね。ゲーム的にはほぼローンチ準備が完了して、最後の調整のためにプレイヤーのフィードバックを得る……というような形で迎えたいです。

 βテストはある程度限られた地域で行われる予定です。それは大きく競技的な環境でβを体験していただきたいからで、そのためにはプレイヤーが多い地域でないといけません。正式サービスではすべての地域をカバーしたいと思っています。

――Modのサポートや、特殊ルールを作れるワークショップモードなどはどうでしょう?

ジョーいまはユーザー作成のモードなどにはフォーカスしていません。ゲームがローンチしたら、コミュニティからモードのアイデアなどをぜひ聞いてみたいですけどね。

 というのは、我々はリリースされるものはすべて高いクオリティを保ちたいと思うんですけれども、ユーザーコンテンツをチェックしなければいけないとなると、開発力が割かれてしまうので。コミュニティからのアイデアをもとにしっかり作る、ということはありえるかと思います。

――eスポーツ的な展開は考えていますか?

ジョーもちろんそうなればいいと思っていますが、でもそのためにはまずコミュニティといっしょにゲームを磨きあげていくことですね。「これは新しいeスポーツタイトルだからやって」という形にはしたくないんです。eスポーツ的な展開をやっていく前に、まずコミュニティが競技的なシーンを望むようなゲームにすることですね。

――好きなエージェントは?

ジョーサイファーですね。彼はエリアをコントロールするのに長けていて、そのプレイスタイルが好きなんです。それとプレイヤーとして人を罠にひっかけるのも好きだし。

アンナ私はアーチャータイプのソーヴァですね。まだあまり射撃が得意ではなくて修行中なんですけど、ソーヴァはそれでもチームに貢献できる方法を持っていて、スキルで相手の場所を知ったり追い出したりもできる。役に立っていることを感じられるのが大きいです。

シニアゲームデザイナー Trevor Romleski(トレバ―・ロメルスキー)

――エージェントのロール(役割)をタイプ分けするとどうなりますか? ほかのゲームだと“タンク型”とか“サポート型”などがありますよね。

トレバ―エージェントたちの設計はヒーローシューターの伝統的なロール、たとえば「大きくて体力がいっぱいあって遅いけど攻撃力が高い」といったものとは違うやりかたをしています。

 彼らの能力を考えたとき、武器はそれぞれ同じものが買えるので性能は同じですよね。では残り半分はというと、試合中に戦術的なものをチームにもたらすユーティリティ(役立つ)スキルになってきます。

 これを踏まえてエージェントたちを見ていくと、まず“ストラテジスト”(戦術家)と呼んでいるタイプがいます。視界を遮るような能力があって、それによって対処しなきゃいけないエリアをある程度絞り込む役割です。

 そして、つぎに”センチネル”(番人)。場所を保持するためのディフェンス系のスキルに長けていて、相手の進行を遅らせたり、長引かせたりする、エリアをコントロールできるエージェントになります。

 それと”ブリーチャー”(突入者)ですね。フラッシュグレネード系の能力などを持っていて、敵がいるであろうエリアに入っていくときに、安全な突入のきっかけを作るタイプです。

 それらに加えて、もうちょっと攻撃寄りのアグレッシブなキャラクター”アサルト”(攻撃兵)がいるという感じです。彼らは戦闘中の動きに長けているか、接敵状態にうまく対処するための能力があります。

 これのロールは、いずれもチームが戦術的に、かつできるだけ安全に動いていくために求められるものを提供できるよう設計されています。

――キャラクター設計の流れについて教えてください。最初に機能があるのか、それともキャラクターデザインなどが先なのでしょうか?

トレバ―おもしろいことに、キャラクターによって毎回のように異なります。クールなコンセプトアートが上がってきて、「お、これいいね」となってからそのキャラクターに見合うような能力や戦術的な役割を考えることもあるし、逆にクールなアビリティを思いついて「この能力が似合うようなキャラってどんな感じだろう?」と始まる場合もありますね。

 アビリティに関する基本的なアイデアが固まったら、見た目は仮の素材で間に合わせて、とにかくプロトタイプを作ってプレイテストするようにしています。それで「これは行けそうだぞ」と感じたら、実際に作り込むかどうか判断するための承認プロセスに移ります。どんな背景を持つキャラなのか、どんな外見なのか、どんな雰囲気で喋る人物なのか、それとどういうスキル構成を持つのか……といったことは、そこから磨き上げていきます。

――ヒットボックス(当たり判定)は全キャラ共通なんでしたっけ?

トレバ―同じです。各キャラは異なるプロポーションを持っているんですけども、その差はある程度の範囲に収まっていて、すべて同じヒットボックスにフィットするようになっています。

 というのも、本作のようなタクティカルシューターではヒットボックスが少し大きかったり小さかったりするだけでもけっこうな違いになります。我々としては、キャラクターを選ぶ際には「敵の攻撃が当たりにくくて有利だから」という理由ではなく、ちゃんとそのキャラの能力や役割で選んでほしいので、こういう設計にしています。

――メタ(チーム構成や戦術)の固定化を避けるために考えていることを教えてください。

トレバ―いくつかあるんですが、まず我々がシステムを設計する際には、しっかりしていてかつプレイヤーが新たな戦術をいくつも考えられるよう目指しています。

 ゲームをプレイしている際に遭遇するさまざまなシチュエーションに対して対策を編み出せるツールを提供するというのが理想です。ある戦術が流行したり支配的になったときに、我々が割って入って細かく調整するより、そのカウンターとなる方法を見つけ出せるような環境を築き上げるべきだと考えています。

 そのうえでもちろん、我々が適切で十分なツールを提供できていないと感じたら調整しなければいけないと思いますが、まずは流行の戦術が生まれていく中でプレイヤー自身が対抗策を見いだせる強いシステムを提供するのが第一ですね。

――テストサーバーなどはあるのでしょうか?

トレバ―『LoL』はテスト環境が整っていますが、まだ具体的な形式を探っているところですね。ただ、プレイヤーに開発側の意図や目指している方向性を把握する機会を提供して、それが正しいかどうかフィードバックを得たいと考えているのは違いありません。

――対戦するチームのバランスをサポートする仕組みはありますか?

トレバ―あなたがどうプレイしているか、マッチメイキングシステムがパフォーマンスや評価を判断して割り振ります。フェアな試合で自分がちゃんと貢献でき、学べて十分なチャレンジがあると感じられるのが理想で、レベル差がありすぎて相手を見る間もなくやられてしまうというのが続くのは避けたいですね。それは退屈ですから。

――チーム内のエージェントのバランスをサポートするようなシステムはありますか?

トレバ―現在はそれをやろうとは考えていません。というのは、先ほどお話したような形で各エージェントを設計しているし、銃は予算内で好きに買うものなので、伝統的なロールのように「サポートはサポート的なことしかできない」とか、「タンクがいないと負けますよ」というものにはなっていないからです。それぞれのチーム構成なりに戦術を調整してルールの中で戦えるものという考えかたです。

――個人的に気に入っているエージェントやアビリティは?

トレバ―エージェントではブリムストーンですね。戦術の下準備をして突入を助けたり、試合中にチームに指示を出すのが好きなんですが、彼はそういった役割が得意です。自分はいきなりスペースに飛び込んでいくタイプではないですしね。

 好きなアビリティはジェットの煙幕(クラウドバースト)で、キャラクターにもハマっているし、使っていても楽しいので、ゲームデザイナーとして気に入っています。

シニアゲームデザイナー Salvatore Garozzo aka “Volcano”(サルバトーレ・ガロッツォ、通称・ボルケーノ)

――本作でマップをどう設計しているのか教えてください。ふつうのヒーローシューターとも違うでしょうし、『CS:GO』などとも違うように思えるのですが。

ボルケーノいい質問だね。このゲームのためのマップを設計するのはおもしろいチャレンジです。『CS:GO』でマップを手掛けた経験があるし、上司のクリス・カーニーは『Halo』シリーズのレベルデザイナー。これらのゲームでの経験を活かしている部分があります。マップを細かく見てもらえれば、そこここに影響を見られるかもしれません。

 でも、それらのゲームとの大きな違いがあって、それはエージェントの存在です。マップを設計するときには、つねにアビリティの組み合わせを念頭に置きながら、彼らにあったスペースを作るよう考えていかなければいけません。

 マップを作り始めるときには、そのマップのコンセプトとして、どんなことをプレイヤーに問うかをまず考えます。たとえば、ヘイヴンは3つの目標地点がありますよね。じゃあ、3ヵ所もどうやってカバーするのか。サイファーのようなエージェントはトラップやカメラを設置できるので広範囲をカバーできるね、といった感じです。マップを設計する際にはこういったことを考えています。

 そうやって詰めていってうまくいきそうだと感じたら、仮素材で(マップを)組んでみて、もう毎日テストします。それで、サイファーでプレイした人に「このキャラでこのマップどうだった? おもしろいことできそうだと感じた?」って聞いたりしながら調整していくんです。

 それと同時にマップのバランスが取れているかどうかも追っていきます。どちらかが勝ちすぎていないか? すべてのキャラがこのマップをプレイする意味を感じてくれるだろうか? 特定のキャラがあるマップで活躍する機会が多くなることもありますが、アリだと思えば少しだけなら許容しています。それはマップによって異なるチーム構成を持つことを刺激するので。

――マップの分析の際にヒートマップ(※)などを使っているのでしょうか?

※ヒートマップ:キャラがよく通るルートや死亡ポイントなどのデータを熱源反応のように視覚化したもの。

ボルケーノヒートマップの準備はありますが、まだ内部でのテストで蓄積されるデータが限られているので、現時点ではあまり活用していません。いまの段階では、もっと直接的なフィードバックを聞いたり、興味深いシーンで実際には何が起こったのかプレイ映像を見返すといったやりかたが多いですね。これからより多くの人がプレイするようになってきたらヒートマップで問題を探ったりすると思います。

――タクティカルシューターのプロプレイヤーをテスターに雇ったりしているのでしょうか?

ボルケーノじつはおもしろいことに、開発チームにプロ経験者がけっこういるんですよ。テスターとしてじゃなくて開発スタッフとして参加しています。自分も『カウンターストライク』で10年以上の経験がありますし、同僚のボビーも『カウンターストライク』出身者だし、キャラクターモデラーなんか『カウンターストライク』だけじゃなくて『チームフォートレス2』や『コール オブ デューティ』の元プロです。最近加わったQAテスターは『カウンターストライク』と『オーバーウォッチ』のプロ経験がありますね。

 そんなわけで社内テストには元プロの腕利きもいっぱいいるんです。ふつうのスタッフとはちょっと違った視点の意見がもらえるので役立っていますね。結果的にかなり幅広いスキルレベル(のプレイヤー)からフィードバックが得られる状況になっています。

――今後もギミックのあるマップを期待しても?

ボルケーノ独自のメカニズムを持ったマップには期待してもらって構いません。ギミックと呼ぶと軽いものを想像する人もいるかもしれませんが、何度も遊ぶのに足る、深いメカニズムを届けたいと思っています。すべてのマップが新しいメカニズムを持っているわけではないですが、必ずすべてのマップで異なる問いかけをプレイヤーにするものになります。

 構造で勝負することもあります。スナイパーのために長い通路があるかもしれませんし、逆にショットガンが有効な曲がり角の多いものもあるでしょう。我々としては、各マップがプレイスタイルや戦術に影響するユニークな個性をいくつか持つものにしようとがんばっています。

――新マップはどれぐらいの間隔で投入される予定ですか?

ボルケーノまだ模索している段階ですね。いまは6ヵ月から1年くらい(の感覚で実装)と見ていますが、プレイヤーがゲームを遊び始めてからの状況次第になると思います。というのも、マップがいきなり多すぎても理解が追いつかないですし、いろいろなポイントと能力の組み合わせを深めていくのが難しくなりますから。ですので、コミュニティの声に注意深く耳を傾けてプランニングしていきたいです。

――ジェットはスキルでハイジャンプして障害物の上から覗くことができますが、この手のゲームでたまにある“トーテムポール(※)”はできますか?

※トーテムポール:ほかのキャラの上に立って高所への移動や索敵を行うテクニック。

ボルケーノわはは、10人くらい重なってるスクリーンショットとか見かけますよね。本作での仕様なんですが、これはできないようにしてあります。ああいったプレイヤーが自ら編み出したテクニックは自分たちとしては好きなんですが、本作にはジェットのようにスキルでほかのエージェントより高く飛べるキャラがいるので、それを意味あるものにしたいからです。

――立体的なマップなどを期待してもいいでしょうか?

ボルケーノ立体的なマップは模索しているもののひとつですね。ヘイヴンなどはちょっと高い建物があったりもします。ただ、立体性をある程度制限している部分もあります。この手のゲームではマウスを低感度で使うプレイヤーがいるので、彼らが頻繁にマウスで視線を上げたり下げたりしなければいけないのは避けたい。

 それと、上にいるプレイヤーが基本的に有利になるので、高低差をつける場所は強い意図を持ってやれる場合に限っています。(取材時に)遊んでいただいたマップよりもっと高低差があるマップも試しているんですが、自分たちが納得するバランスにしようとまだ弄っている最中です。

 ジェットなどはハイジャンプからアルティメットスキルを使ってクナイを投げるという空中戦ができます。ああいったことをできるキャラクターは限られていて、基本的にはちゃんとポジションを取って撃ってほしいと思っています。

――好きなエージェントとスキルを教えてください

ボルケーノ難しいこと聞きますね! いろいろある中で真っ先に思いついたのはフェニックスです。多くの試合で突っ込んで多くのキルを得られ、自分自身で切り拓いてチームに貢献できるようなキャラだからですね。そういう意味もあるので、好きなスキルは彼のアルティメットスキルのラン・イット・バックにしておきます。復活が保証された形なので、いま言ったようなことを高いレベルで実行できますし。

アートディレクター Moby Francke(モビー・フランケ)

――まずは『VALORANT』の舞台について教えてください。固有の名前などはあるんでしょうか?

モビーいえ、単に地球ですね。『LoL』のファンタジー世界などとは違って、現代よりちょっと未来の地球です。2050年とか、(特定の年代を)言えればよかったんですが、2050年がどうなるかはわからないので、とりあえず技術はある程度進歩したけどそう劇的に格好などが変わったりしない未来だと思ってください。

 そんなわけで、ややリアル寄りとも言える地球なんですが、それぞれの場所については「ここは東京」みたいに特定はしていません。各国の都市を再創造するような形ではなく、それぞれの地域を尊重した形で雰囲気を残しつつ作り出したものになります。

――キャラクターをデザインする際の哲学を教えてください。

モビー何より大事にしているのが”DNA”と称しているシステム。これはデザイン、ナラティブ(物語)、アートの頭文字を合わせたものになります。

 デザインは我々の基礎となるものです。まずはゲームデザイナーがそのキャラに込めたテーマを仮素材の3Dモデルを通じて見るわけです。つぎがアーティストの腕の見せどころ。デザイナーやナラティブ担当とやり取りしながら、そのキャラや能力を見た人が理解しやすいよう視覚的なデザインに落とし込んでいきます。

 それはゲーム中のシルエットに始まり、グレイスケールでのデザイン、そして色使いなどが揃っていって、少しずつゲーム中のキャラになっていきます。そうしてムービーやバックストーリーが用意されていきます。

 さまざまな職のスタッフによるコラボレーションを通じて、ゲーム内でそのキャラを見たときに、明瞭であり、ちゃんとテーマ的なまとまりが伝わるものになるよう目指しています。

――ストーリーコンテンツという点では、コミックやショートアニメなどを期待しても?

モビーもちろん。ここの開発計画はちょっと変わっていて、プリプロダクションから完成まで2年間の期間があるんですけど、長く運営していくゲームなのでローンチからもどんどんよくするべく開発が続いていく。『LoL』なんて、10年前といまでは大違いです。このゲームでもそういった考えをもって継続的にいろいろ(な見せかたを)進めていきたいと思っています。

――マップの色使いなどは何か決まりごとがあったりするのでしょうか?

モビーマップだと、まずはゲームプレイの空間としてのユニークな個性があって、つぎに場所のユニークさがあり、それに紐付いてマップごとのカラーパレットがあって、それぞれがそのマップの“ブランド”のようになっています。

 モロッコをテーマにしたマップならそのためのカラーパレットがあって、日本マップはまた別のカラーパレットがあるという感じです。ゲームをプレイしていて、マップを選ぶときにパッとそのマップのことを思い出せるよう意図的にやっています。

――キャラのデザインはカートゥーンすぎでも“リアル”すぎでもない感じですが、そうしている意図などを教えてください。

モビーデザインを模索する過程でリアル寄りのモデルも試したりしましたが、このスタイルではあまり広げていけないなと感じたんです。というのは、キャラ作りは3Dモデラーやキャラクターアーティストなど、さまざまなスタッフが関わるものですから、「なぜ本作のキャラデザインはこういうシルエットなのか」といった意図や哲学を理解してもらったうえで作らないといけない。

 そうやって試行錯誤して、いまの細身の部分と太い部分がはっきりしたスタイルが生まれました。スタッフが共通理解のもとで作業しやすいので、開発がスムーズに進むようになっています。

――好きなエージェントを教えてください。

モビージェットですね。彼女のゲームプレイは楽しいし、ダッシュのアビリティやなんかもおもしろい。まぁ、自分はさまざまなFPSに関わってきたわりに得意じゃないんですが(笑)。本当に厳しいゲームですからね。プレイするときはいつもビクビクしてるんですが、彼女の能力はパワフルに感じさせてくれます。

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2020-03-02 08:00:00Z
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