宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が5日、小惑星リュウグウに金属の塊を発射しクレーターを作る実験に挑戦する。前例のない実験の主要な装置は、福島県内の地元企業が技術を結集し、試行錯誤して完成させた。社員らは3億キロ離れた一発勝負のミッション成功を待ち望む。
実験では探査機から切り離した衝突装置を起爆し、銅製の丸い板を発射すると同時に爆薬の力で球形に変形させ、秒速2キロの高速で小惑星にぶつける。開発で鍵となったのが、衝突装置内にあり爆薬を収める円すい形のステンレス製ケースと、その下部に取り付ける銅板との溶接だ。
「溶接は普通、二度と外れなくする作業。うまく外れるのを要求されることはめったになく、難しかった」。郡山市の溶接会社「東成イービー東北」の堀田秀樹工場長(46)は振り返る。
当初、銅板とケースはねじ留めの予定だったが、真空環境の試験で宇宙空間では爆薬の揮発成分が漏れてしまうことが判明。急きょ溶接が必要となり、種類の異なる金属を溶接できる同社に白羽の矢が立った。
最新鋭の電子ビーム溶接機で挑戦したが、銅とステンレスは溶ける温度が大きく異なり、均一に混ざらないなどの問題に悩まされた。電子ビームを何度も調整し、時に深夜まで作業を続け、約半年かけて求められる性能を達成した。
一方、ステンレスの大きな塊から、ケースの形に削り出すのにも苦労した。作業したのは精密部品加工の「タマテック」(鏡石町)だ。
最初の設計はアルミ製だったが、銅との溶接が難しく変更になった。アルミより重いステンレスで軽くするには、ケースの厚さを当初の3ミリから1ミリにする必要があった。「経験したことがない薄さで、やってみないと分からなかった」(吉田武副社長)が、職人が工作機械を操り、誤差を100分の5ミリ以内に抑えた。
設計など開発の中心的役割は弾薬メーカー「日本工機」の白河製造所(西郷村)が担った。東日本大震災で一時は開発が止まったが、粘土のようなプラスチック爆薬を、円すいの上部の小さな口から内部に均一に詰める難しい作業をやり遂げた。地上試験では100メートル先の的の中心を射抜くことに成功した。
JAXAで衝突装置の開発を担当した佐伯孝尚・プロジェクトエンジニアは「開発期間が短く、むちゃなことも言ったが、粘り強く対応していただいた」と感謝する。装置は5日午前11時ごろに探査機から切り離され、40分後に起爆する予定だ。【池田知広】
https://mainichi.jp/articles/20190403/k00/00m/040/224000c
2019-04-03 10:39:00Z
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